そもそもコピープロテクトとは

なぜ、コピープロテクトがこうもとりざたされるのかというと、その原因はデジタルデータのコピーのしやすさにあると言える。 何のプロテクトもかかっていないCDは、ライディングソフトを使って容易にコピーすることができる。 しかし、このCDのコピーというのは法的にはグレーゾーンなところであり、違法かどうかの判断が非常に難しいところである。 とりあえず何のプロテクトもかかっていないCDを個人がオリジナルCDを傷つけたくないなどの理由でコピーすることは違法とはされないというのが通説である。 しかし、コピープロテクトがかかっているソフトをコピーしたり、友人や第三者に配布または販売する目的でコピーしたりするのは違法である。 そして、悪意を持った違法コピーに対する対策としてとられたのがコピープロテクトなのである。

コピープロテクトの種類

コピープロテクトといっても数多くの種類がある。 そしてそのそれぞれがさまざまな手法を用いているのである。 ここではその種類について触れてみる。

コピープロテクトは現在次の5つの手法に分けることができる。

マニュアルプロテクト
ユーザーに個別のパスワードを入力させる。Adobe Photoshop、Microsoft Office 2000などビジネスソフトで使われることが多い。
フォーマットプロテクト
メディアのフォーマット情報やその一部を改変し生じるエラーを利用する。三国志などのゲームや、音楽CDで使われることが多い。
物理プロテクト
メディアの一部を物理的に改変して生じるエラーを利用する。ゲームに使われることが多い。
ハードウェアプロテクト
シリアルやUSBのコネクタにハードウェアを接続して認証する。3D-CAD RhinoなどCADやDTPなどの高価な専用ソフトに使われることが多い。
ネットワークプロテクト
ネットワークを利用してユーザーを認証する。Windows XPやOffice XPに使われている。

物理プロテクトについて

コピープロテクトにはそれぞれ特性があり、研究する対象として大変興味深いのであるが、ここでは特に物理プロテクトについて語ることにする。

セキュロム(SecuRom)

このプロテクトではサブチャネルという特殊な領域にデータが書いてある。 普通、この部分はCD-Rドライブが自動で適切なデータを書き込むが、セキュロムのディスクは独自のデータが書かれていて、ソフトの起動時にチェックしている。 また、上のsafe disc 2と同じくATIP読みも行うので、コピーメディアでCD−Rドライブからは起動しない仕組みになっている。

リングプロテクト(RingPROTECH)

本物の盤面(信号面)をみると、バームクーヘンや年輪のように筋が見える。 そのため、「バームクーヘン」「年輪プロテクト」とも呼ばれている。 そしてこの筋が、セーフディスクVer.1と同じようなエラーセクタでなのである。

セーフディスク(safe disc)

物理プロテクトとして一番ポピュラーだと思われるものは、「safe disc」(通称S.D)と呼ばれるものであろう。 これはプロテクトとして普及率も高く、目にすることも多いのではないだろうか。 これは、米macrovision社の開発したCDのコピーに対するプロテクトである。 このプロテクトはバージョンによって仕組みが違うので、Ver.1から順を追って説明しよう。

まずVer.1の仕組みだが、これはCDにわざと読めないセクタ(バッドセクタ)を作っているのである。 これにより普通にCDをコピーしようとするとそのセクタで読み込みエラーが発生して止まってしまうのである。 また、自動的に修正してコピーできた場合でも、ソフトの起動時にCDをチェックして読めない部分が存在するか調べているので、チェックに引っかかり起動できないのである。

そしてVer.2であるが、簡単に言うと、CD-Rに書こうとすると多くのCD-Rは書けない(読めない部分になる)データが存在する。 Ver.1とは逆に、この部分が読めるか起動時に調べている。 さらに、Ver.1と併用されているので、最初から読めない部分も存在する。 さらに最近では、メディア(ディスク)が本物かCD-Rかを判別するためにATIPというメディア情報も読みとる。 端的に言うと、CD-RドライブでCD-Rメディアから実行すると、CD-Rメディアであることが判別されてしまうのである。 Ver.2.5は、Ver.2を強化して「多くのCD−Rで書くことができないセクタ(ウィークセクタ)」が更に書きにくくなっている。

そして2003年3月現在最新版であるのがsafe disc 2.8である。 著者である私が研究を始めたのがこのプロテクトが出てきた頃からなので、特にこのプロテクトについて語ろう。 基本的にsafe discは旧Ver.に新しいシステムを加えるものなので、このsafe disc 2.8にも今までのsafe disc 2.5以前のシステムが入っている。 さらにそれに加えて、トラック1のプリギャップエリア(LBA マイナス領域)もチェックしているのである。

safe disc 2.8の検証

ではここでブリギャップエリアの特殊セクタの比較のために、いくつかの条件でsafe disc 2.8のかかったソフトをバックアップしてみた。 なおこのバックアップしたCDはセクタの検証以外の目的には使われていない。 バックアップディスクについて、名前(リードドライブ、その速度: ライトドライブ、その速度: リード条件: ライト条件)で書いてある。

まずマスターディスク、

以上この4つのディスクをCD Manipulator2.50 + PLEXTOR PX-W4012Aの組み合わせでイメージをとり、プリギャップエリアの特殊セクタの一部を比較した。 比較するセクタは、LBA 000000の位置に最も近い特殊セクタ(プリギャップエリアにある)である。 ここですべてのセクタを書くことは不可能なので、特に違いがあったところだけ明記する。

マスターディスク、TEST 2の場合
00052090 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00
000520A0 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 08
TEST 1、TEST 3の場合
00052090 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00
000520A0 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00

このセクタでは上記の右下のアドレスに違いが見られる。 またこのとき、EDC、ECC部も異なっている(プリギャップエリアのいくつかのセクタでこのような違いが見られた)。 最終的にブリギャップが吸えているイメージは特殊セクタを再現している。 ブリギャップが吸えていないイメージは特殊セクタを再現せず、ダミーデータに置き換えているということが分かった。 つまりSafe Disc 2.8はSafe Disc 2やSafe Disc 2.5の第1セッションのプリギャップ部分に特殊なセクタを加えたものなのである。 以上がsafe disc2.8の解析である。

ちなみに蛇足ではあるが、safe discを一枚のCDにかけるときのライセンス料は一枚あたり10円といわれている。

alpha-ROMについて

最後となるが、今年になって一般に知られ始めたプロテクトとして、alpha-ROMというプロテクトがある。 このプロテクトは一応今のところ、イメージ化はできるが起動しない、コピー不可能のプロテクトである。 一応起動したり、コピーしたりする方法はあるのだが、ここで書くべきことではないので、割愛する。 プロテクトの仕組みとしては、最初のブリギャップと、二重セクタ、さらにバッドセクタが絡んでいるようだが、まだ解析されたデータが公開されてないので詳しいことは分かっていない。

まとめ

以上がコピープロテクトについて自分なりに研究した結果である。 このテーマはプロテクトの知識だけでなくCDドライブ、メディアなどの知識も必要とし、研究材料としてかなり興味深いものであるが、書いている内容は法律に抵触する可能性のある、一般にグレーゾーンと呼ばれるものである。 これを見ている人がもし仮にCDのプロテクトやバックアップについて、詳しく知りたいと思った場合は、著作権などの法律について自分なりに理解して、自己責任でやって欲しい。 いざ、ことが起こったとき一番後悔するのはあなた自身であり、一番悲しむのはあなたの家族なのだから。