IT革命、ブロードバンド時代などといったものが叫ばれるようになって久しいが、その根幹を担うインターネットとは一体どのようなものなのかという疑問について調査することにした。
インターネットの起源は今から約46年前にまでさかのぼる。 1957年に旧ソ連が最初の人工衛星スプートニクを打ち上げたのに呼応し、アメリカ合衆国は軍事利用が可能な科学技術で先行するために、アメリカ国防総省内に高等研究計画局(ARPA: Advanced Research Projects Agency)を設立する。
1961年にはパケット交換の理論が初めて発表され、アメリカで電話中継基地の爆破テロにより、核戦争時の通信不能が判明する。 それにより、核戦争にも耐えうる通信システムの研究が開始された。 1966年には最初のARPANETのプランが提唱され、アメリカ国防総省が中心となりDARPAが設立され、通信技術に関しての研究・開発が開始された。 翌年にはARPAがパケット交換網を発表し、1969年にはDARPAの国家プロジェクトとしての資金援助により、4ノード(UCLA、UCSB、SRI、Utha)からなる長距離パケット交換技術の実験、ARPANETが開始された。
このARPANETがインターネットの起源と言われることが多いが、現在インターネットで使われている標準のプロトコル(手段)のTCP/IPは使われていない上に、電子メールも今とは全然違うものだった。 1971年には単一ホストのものだった電子メールが、分散ネットワークの間でメッセージを送信する電子メールプログラムの発明されたことにより、誰にでも送ることが可能になった。
1972年になると、国際電信電話諮問委員会、CCITT(Consulting Committee of Internatinal Telegraph and Telephone)のジュネーブ総会で総合デジタル通信網、ISDN(Integrated Service Digital Networks)の基本概念が発表された。 これはデジタル通信サービスの国際基準で、 電話、データ通信、FAXなどを1つの回線に統合することを目標としていた。 商用利用は80年代後半から活発化してきた。
また、ARPANETの実験が成功に終わり、広く一般にデモンストレーションされる。 この頃にはARPANETは50ノード(20交換機)の大きさにまで成長した。 そして同年Telnetの仕様 (RFC318)が発表された。 1973年にはARPANETへの最初の国際接続がイギリス(University College of London)およびノルウェー(Royal Radar Establishment)によって開始され、同年FTPプロコルの仕様が決まった。
1974年には初めてVint Cerf / Robert Kahnの論文に「Internet(インターネット)」という言葉が登場し、TCPやIPもこの年に発表された。 1975年にAT&Tが開発したUNIX(アメリカのベル研究所で1969年ミニコン用に開発された、時分割処理方式でマルチタスク・マルチユーザー用のオペレーティングシステム)が大学や研究所などの環境に提供され始めた。 1976年にはゼロックスのPala Alto研究所が、Ethernet(データリンク層のプロトコル)の論文を発表し、UUCP(Unix to Unix CoPy)も同年に発表された。
1977年には電子メールの仕様が決まり、1978年にはISO及びCCITTが、国際的標準プロトコルである「OSIプロトコル」の策定に着手した。 1970年代最後の年である79年にはネットニュース(USENET)が登場し、世界第2位の商用オンラインサービスであるCompuServe Interactiveがアメリカ合衆国オハイオ州コロンバスで産声をあげた。
1980年代に入ると、81年にはアメリカ合衆国のカリフォルニア大学バークレー校で、TCP/IPがOSの一部として組み込まれた「BSD UNIX(4.1 BSD)」が開発され、BITNET(the Because It's Time NETwork)がニューヨーク市立大学における共同利用ネットワークとして始まり、最初はイェールに接続。 ファイル転送はもちろん、電子メールや情報の配送のためのlistservサーバが提供された。
1982年にはDCA(現DISA)とARPAがARPANETのために、TCP/IPとして一般に知られている一揃いのプロトコル、TCP(Transmission Control Protocol)およびIP(Internet Protocol) を確定する。 インターネットの第一の定義のひとつは、特にTCP/IPを用いて接続されたネットワークの集合であり、インターネットは接続されたTCP/IPのインターネットとされるようになり、同年には現在の電子メールの転送方法であるSMTPや、フォーマット(RFC822)も決まった。
1983年にはARPANETが接続手順に使用していたNCP(Network Control Program)を正式にTCP/IPへ変更し、Sun Microsystemsが一般ユーザ向けの製品としてTCP/IPの提供を開始し、カリフォルニア大学バークレー校がTCP/IPが組み込まれた4.2 BSDをリリースした。 また同年にはUNIXにTCP/IPが組みこまれ、これが「UNIX = インターネット」のイメージの始まりとされる。
1984年には日本でUUCPをベースにしたJUNET(Japan Unix Network)が創設され、ドメインネームシステム(DNS)が導入された。 また同年にはARPANET加入ノード数が1,000を超えた。 1985年には日本で電気通信事業法によりモデムの使用が可能になり、1986年にはNSF(National Science Foundation)が、5つのスーパーコンピュータセンターを結んでNSFNET構築プロジェクトを開始する。 しかしAUP(Acceptable Use Policy)というネットワーク利用規程により商用利用は不可であった。 またこのころからコンピュータウィルスが作られ始める(これには諸説があり、直接的な被害が生じないようなイタズラプログラム程度のものならばもっと昔から存在していたらしい)。
1987年にドイツと中国の間で、CSNET(Computer Science research NETwork)プロトコルを使い、E-mailリンクが確立し、世界初の商業ISP(Internet Service Provider)であるUUNETがMCI Worldcomによって設立された。 1988年にはInternet Relay Chat(IRC)が開発され、ARPANET加入ノード数が、20,000を超えた。 そしてこの年には初めて世界規模のインターネットワーム事件が起こり、CERT(コンピューター緊急事態対策チーム)が発足した。
1989年にはCERN(Counseil Europe'en pourla Recherche Nucle'aire=欧州合同素粒子原子核研究機構)でTim Bernerds‐LeeがWWW(World Wide Web)を考案、CIX(Commercial Internet eXchange)というAUPフリーなネットワークが形成され、学術利用だけでなく商用利用も可能になる。 またPPP(Point-to-Point Protocol)がUNIXに実装され、IETF(Internet Engineering Task Force)が発足し、ARPANET加入ノード数が100,000を超えた。 しかし翌1990年にはARPANETは解消され、NSNETに引き継がれた。
1991年にはCERNによってWWWが発表され、Gopher(ネットワーク上での情報の検索、引き出しに関するプロトコル)がリリースされる。 1992年にはホスト数が1,000,000を超え、日本で最初のインターネットサービスプロバイダであるインターネットイニシアティブ (IIJ) が鈴木幸一によって設立され、同年には筑波研究学園都市の高エネルギー物理学研究所(KEK)の森田洋平博士により日本で最初のウェブページが誕生した。 またWindows 3.1 日本語版がリリースされ、「インターネットのサーフィン」という言葉が創り出されたのもこの年である。
1993年にはインターネットの特定のサービスを提供するために、NSFによりInterNICが創設される。 この年にはインライン画像を扱うことができるWWW閲覧ソフト、Mosaic(後のNetscape Navigator)がインターネットに嵐を起こす。 WWWは年間のサービストラフィック量で341,634%の急増。 Gopherの増大は997%にもなった。 また日本でもインターネットの商用利用が旧郵政省より許可される。
1994年にはNetscape Navigatorが登場し、日本政府のウェブサーバ「www.kantei.go.jp」や個人向けISPであるベッコアメやリムネットが登場した。 1995年に発売されたWindows 95により、WWWや電子メールが本格的に家庭で使われるようになった。 またJavaの登場、Real Audioの登場によるストリーム配信の始まりやInternet Explorerが公開されたのもこの年である。
1996年はNetscapeとMicrosoftとの間で戦われたブラウザ戦争は、年4回という新規リリースによるソフトウェア開発の新世代になだれ込んだ。 1999年にはコンピュータの2000年問題(Y2K)が取り沙汰され、セルビアとコソボの間で初のサイバー戦争が起こった。 そして今、「インターネット」は新しい時代に入ろうとしている。 このことに関しては後述させていただくこととする。
インターネットとは、世界中に存在する学術機関、企業、組織のさまざまなネットワーク同士が相互に接続されることによりできたネットワークのネットワークだ。 元々1969年にアメリカの4つの大学・研究所を結んで始まったネットワークのことである。 またインターネットを利用したい個人のために、インターネットへの接続を提供するサービス会社のことをインターネットサービスプロバイダ(ISP)という。 プロバイダと略して呼ばれることが多い。 代表例として@nifty、IIJ、BIGLOBE、OCNなどが挙げられる。
また、インターネットのよく耳にする通信方式としてアナログ通信、デジタル通信、パケット交換方式、TCP/IP通信などが挙げられる。 アナログ通信とはコンピューター上のデジタル情報を一度、アナログ情報に変換し伝送する通信のことである。 それに比べデジタル通信は、デジタル情報を単にパルス信号に変換して伝送する方式のことである。 またパケット交換方式はデジタル通信に分類されるのだが、デジタル情報をパケットと呼ばれる小さな単位に分割し伝送する方式のことである。 つまり、100ある情報を10ずつに小分けし、10回に分けて伝送することと同義である。 TCP/IPとはTCP(Transmission Control Protocol)と、IP(Internet Protocol)と言うプロトコルを合わせたもので、現在インターネットにはスーパーコンピュータやワークステーションからPC、TVに至るまで、様々な機器が接続されている中、そんなバラバラな機器どうしで情報をやりとりするための最低限の通信規則(プロトコルという)のことである。
TCP/IPは、OSI参照モデルに準拠して開発されたもので、最近ではOSIプロトコルはほとんど利用されていない。 OSI参照モデルは7階層だが、TCP/IPは4階層から構成されている。 上位の層ほどユーザが利用するアプリケーションに近く、下位の層ほどハードウェア側になる。 つまり多くの階層を取ることによりアプリーケーションやOS、ハードウェアの違いを各層で吸収し通信を実現しているのである。 TCP/IPの各層には、用途に応じた様々なプロトコルがあり、これを必要に応じて使用することで通信が行われている。
またよく聞くものとしてパソコン通信が挙げられるが、これはワープロ専用機やPCで、モデムと電話回線を使って通信することであり、相手のPCと直接にモデムと電話回線を使用し、通信する方法もあるが、大抵は商用ネットワークなどに加入して通信する方法が主である。
インターネットはネットワークのネットワークであるため世界中のあらゆる所にサーバがあり、ネットワーク全体を1つのサーバでは管理しておらず、複数のサーバによって管理されている。
インターネットは現在、様々なデジタル情報のデータを蓄積するアーカイブ(倉庫)の役割が大きい。 現在では一昔前では考えられなかったようなこと(ネットワークゲーム・ネットサーフィン・個人ホームページの作成)がいとも簡単にできるようになった。 また現在のインターネットへの接続手段は、コンピュータ・PDA・携帯電話やPHS・一般加入電話(一部サービスのみ)といった通信機器を利用するしかないが、今後は冷蔵庫や電子レンジといった家電から車やテレビといった、ありとあらゆる電化製品に拡大していくと考えられる。 それに伴い、インターネットでできることも現在の「コミュニケーションの道具としてのインターネット」や「マルチメディア図書館としてのインターネット」といったものから、それらも踏まえつつ、個人レベルで多岐に及んでいくものと思われる。
しかし懸念事項がないわけではない。 サイバー戦争・サイバーテロといった電子レベルでの戦争やテロが起こる可能性も否定できない。 事実、現在でもコンピュータウィルスによる被害や、他人のコンピュータへのハッキングなどは後を絶たない。 もちろんセキュリティに関する新しいソフトウェアが今後も続々と登場するだろうが、現実世界の犯罪が世の中から消え去らないように、電子世界の犯罪も消え去ることはないだろう。 つまり個人レベルでの防衛手段を持つことが現在と同様に将来に渡って重要であることは変わらないのである。
またインターネットは日々成長している。 どういうことかというと、日々誰かが新しい情報をインターネットというアーカイブに蓄積し続けている。 これは、人類が電子による通信手段をすべて失わない限り永久に持続するものであり、蓄積される情報が今日より明日、明日より明後日という具合に、時が進めば進むほど身近なものになっていく。 であるからして、インターネットは今後、時を経れば経るほど身近な存在となり、日常の生活になくてはならない存在になっていくことであろう。